こんにちは。 Dr. Noriです。
新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言がきっかけとなり、少しずつテレワークが進む雰囲気になってきています。
大きな会社組織のようなところではIT推進プロジェクトのような担当者や担当部署を決めて、デジタル化を進めていくことが可能ですが、比較的小さな事業所の場合、ITに詳しい人がいないなどの理由でなかなか進まない現実があります。
一方、コロナ後の社会は感染拡大前には戻らないであろうと言われています。
ということは今変わらないとヤバい!ということですね(涙?朗報?)
そこでデジタル化を進めていこうとす時に気をつけることを、小規模事業者に向けて解説したいと思います。
手段と目的の区別を意識する!!
これが一番大切と言っても過言ではありません!!
一番危険なのは、「パソコンを使っている」、「WordやExcelを使って文書や表を作成している」で止まっている状態です。
厳しい表現ですが、「パソコンやWordやExcelを使っているからデジタル化している」と考えているようであれば必ず失敗すると言っても過言ではありません!
目的が、ワープロできれいな文書を作成する、Excelできれいな表を作るというのであれば問題はないでしょう。
しかし、デジタル化する目的はWordできれいな文書を作成することでもないし、Excelできれいな表をつくることでもありません。
デジタル化を成功させるためにはたった2つのことをやれば良いのです。
デジタル化を成功させる2つのプロセス
繰り返しますが、きれいな文書や体裁を整えた表を作成することを目的としているのであれば、ここから先は必要ありません。「昭和」を貫いてください。
デジタル化を成功させたい方は次の2つのプロセスに進みましょう。
- デジタル化する目的を確認する
- デジタル化する方法や活用方法を検討する
デジタル化の目的をたてる
「デジタル化する意味はなんですか?」
このシンプルな疑問にどう答えるでしょうか。
これこそ「デジタル化の目的」です。
いきなり「目的は?」と言われてもデジタル化することで一体何かできるのかがわからないという方も少なからずいると思います。
デジタル化することで実現可能なことがたくさんあるのですが、はじめからいろいろ網羅することは難しいので、大きな概念を捉えておくと良いと思います。
- データ(情報)が劣化しない、再利用できる
- データ(情報)に何時でも、どこからでもアクセスできる
これらはデジタル化のメリットの部分です。
もちろんデメリットもあるので、それは注意点として別の記事で触れたいと思います。
データが劣化しない、再利用できる
紙にデータ(情報)を書いていた場合、破れたり、濡れたり、古くなったり劣化することがあります。
デジタルデータは劣化しないので、何度もきれいな状態で情報を引き出せます。
紙情報と違って場所もとりません。大容量の記憶媒体が安価に入手できるので、保存場所を確保する必要はありませんし、保存するファイルや箱、書庫なども必要ありません。
保存のための場所にかかるコストや保存容器にかかるコストなども考えると、かなりのコストダウンができます。
また、書類整理のためにかかる手間や時間が削減できるので、人件費も少なく済みます。
必要に応じてデータ(情報)を加えたり不要な部分を削除したり、見た目を変えたりと編集することも可能となります。
例えば、顧客名簿の中から、ある期間に取引のあった顧客のみを抽出したり、売上別に並べ替えたり、女性の顧客のみを抽出したりなど一瞬でできます。
また、紙に印刷する、PDFとしてメールで送信する、パソコンから直接FAXする、プレゼン用のスライドに利用する、など用途に応じて利用することが可能となります。
つまり大元となるデータ(情報)を持っていれば、必要な部分を加工して必要とした形で利用できるのが大きなメリットになります。
また、複数のデータ(情報)を紐付けて関連するデータを作成することができます。
例えば、顧客名簿と購入記録を紐付けると、顧客ごとの購入歴を参照したり、顧客との請求書を作成することも簡単にできるようになります。
さらに年齢や性別、地域などの情報との関連を調べて、顧客のニーズを理解したり、どのようなマーケティングを展開するかなど戦略を立てることに役立ちます。
「ビッグデータ」という言葉を聞いたことがあると思います。
これはたくさんのデータを集め、解析し、利用することで、例えば新型コロナウイルスの感染対策だったり、エネルギー政策や交通通信の対策、グローバル企業(だけではないのですが)など多くの場面で役立たせています。
これまで人が処理しきれなかったものをAI(人工知能)を使って解析することで、その処理できる情報量が増え、速度も早く、人が気づかないような問題点に気づけるなど多くのメリットが得られるようになってきています。
しかし、残念ながらビッグデータの利用やAIの分野では日本は先進国ではない、ということを知っておく必要があります。
新型コロナウイルスの感染情報をFAXで扱っていたり、特別給付金もオンライン申請をしても行政側で紙に印刷して処理している、といった報道からも明らかでしょう。
データ(情報)に何時でも、どこからでもアクセスできる
皆さんの手元のスマホに電話やメールといった連絡先が保存されていると思います。
最近のスマホではスマホ同士をかざしたりQRコードを取り込むなどして簡単に連絡先を交換できます。
LINEなどのメセージアプリやSNSなどで連絡先を取得することも可能になっています。
昔は手書きした手帳を持ち歩き、手帳を開いて探して公衆電話から電話をしていました。
手帳を忘れたり無くしたりすると大変でした。
手元に手帳がなければ、相手の番号を記憶していない限り電話することも出来ませんでした。
しかし、今は何も考えずスマホに保存されている相手先を探し連絡をとることができます。
これこそ「何時でも」、「どこからでも」連絡先という情報にアクセスしているのです。
このように必要な情報に時間や場所にとらわれずアクセスし、問題を解決することが求められている時代に私たちは生きているのです。
アメリカの博物館の展示物になったFAX
「手元に資料がないので後でFAXします」というのは「昭和」なのです。
という過激な表現に反発はあるかと思います。
しかし、繰り返しますが、必要な情報をタイムリーに必要な形で(テキスト、画像、動画、音声など)相手にデジタルで提供する、が当たり前の世の中になっています。
これが出来なければ、必ず事務所に行かなければ仕事にならないし、リモートワークは実現できません。
生産性が低い日本、その一つの要因がいまだに電話やFAXなどアナログの利用が多いことが指摘されています。
アメリカではワシントンDCにあるスミソニアン博物館にFAXが展示されているという事実をご紹介します。2015年の日経新聞に記事が掲載されていす。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO88018060S5A610C1000000/
その記事の中でも「FAXがつかわれていたのは6-7年前であったはず」と紹介されています。つまり2010以前の話です。
今、2020年です。これに危機感を持たないのは危険だと思います。
FAXはオワコンなのです。
デジタル化する方法や活用方法を検討する
デジタル化のメリットを
- データ(情報)が劣化しない、再利用できる
- データ(情報)に何時でも、どこからでもアクセスできる
とあげました。
デジタル化するためにはパソコンを中心としたデジタルデバイスを使用することになります。
残念ながらアナログで提供させる情報(例えばFAXや電話の内容、郵送物など)をどう扱うか?という問題があります。
そのまま紙などのアナログ情報のままでよいこと(でなければならないこと)もあるので、まずは情報のトリアージをしなければなりません。
- アナログ情報のまま、保存しない
電話内容をメモしない、電話内容をメモしてもメモを捨てる、FAXを見て捨てる、郵送物を見て捨てる
(保存しない) - アナログ情報のまま、アナログ情報のまま保存する
電話内容をメモしてメモをとっておく、FAXを見てとっておく、郵送物をとっておく
(とっておく=ファイリング) - アナログ情報をデジタル情報にして保存する
電話内容をメモしてとっておく、FAXを見てとっておく、郵送物をとっておく
(とっておく=写真、スキャナーでデジタル化する)
保存したデータを⑤、⑥の選択(個別保存か共有か)をします。 - デジタル情報を保存しない
メールや添付ファイル(画像ファイル、PDFなど)を保存しない - デジタル情報を保存するが、共有しない
メールや添付ファイル(画像ファイル、PDFなど)を個別端末にのみ保存する - デジタル情報を保存し、共有する
メールや添付ファイル(画像ファイル、PDFなど)を共有ファオルダに保存する
(共有フォルダ=サーバー、Cloud)
このように情報をどのように処理するか、によってワークフローも変わってくるので整理してみてください。
事業所内にサーバーを設置し管理するのはハードルが高いので、やはりCloudを利用するのが楽ですね。
Cloudはシステムの総称なので、Google Drive(by Google)やiCloud(by Apple)、OneDrive(by Microsoft)などといった方がわかりやすいかもしれませんね。
Cloudはスマホでもすでに使っていてい馴染みもあるでしょうし、外出先からのアクセスしやすいので便利です。
(自分でサーバーを設置する場合はVPNを作成することになります)