疾患

血尿が出た!ー在宅医療の現場での対処法

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こんにちは。 Dr. Noriです。

「血尿がでました!」と患者さんから報告を受けたらどうしたらよいのでしょうか?

患者さんや家族にとって血尿は心配な症状の一つですね。

血尿が出た時にどう対処したらよいのか知っていると落ち着いて対応できると思います。

そこで、今回は「血尿にどう対処したらよいのか?」について解説します。

本当に血尿か? まず確認する

「血尿がでました」という訴えのなかに実は血尿でないことがあります。

本当に血尿なのか、そうでないかによって対処法が変わリます。したがって、まずはじめに「肉眼的血尿」なのか確認をすることが大切です。

※目で見てわかる血尿を「肉眼的血尿」と言います。

濃縮尿、下血、性器出血、皮膚からの出血の可能性はないか?

ではどんなものが血尿と間違われるのでしょうか?

頻度の多いものに、尿が濃縮されているものを血尿と感じてしまうことがあります。

尿が真っ赤な血の色なのか、紅茶や烏龍茶のような色なのか尋ねてみてください。

紅茶や烏龍茶のような色の場合、尿が濃縮されている(濃縮尿)かもしれません。

濃縮尿の場合、水分摂取量が少なくなってる、脱水気味になっていることが原因かもしれません。水分を多く摂取するようにするとよいでしょう。

また、下血や女性の場合性器出血、陰部皮膚からの出血などとの鑑別も大切です。どこからの出血なのか確認するとよいでしょう。

緊急性を要することはまれです

確認をしてみたけど「やはり血尿のようだ」という場合どうしたらよいでしょうか?

実は、大抵は慌てなくて大丈夫です!

例外的に緊急を要するのは、血圧が下がるような状態であったり、血液の塊が尿路を塞いで尿を出せない状態になった時ですが、そのような状態になることは稀です。

※膀胱内に血塊が溜まって尿が出せない状態を「膀胱タンポナーデ」と言います。

尿が出ていれば(流れていれば)水分を多くとる

尿に血が混じるのは気持ちの良いものではありませんし不安になると思います。

ここは落ち着いて、まずは「普通に排尿ができるか」、カテーテルが留置されている場合は「尿が流れているか」確認しましょう。

尿が普通に出ているようであれば、まず「水分を多くとる」ように指導し、翌日医師に報告で問題ありません。

尿が出せない(流れていない)、下腹部が張る場合は医師へ相談を!

では、「尿が出しづらい」、カテーテル内に「尿が流れ出てこない」場合はどうしたらよいでしょうか?

もし「尿が出なくてお腹が張る」という症状がある場合、血の塊が膀胱内に溜まって出口を塞いでいる「膀胱タンポナーデ」の可能性があるので、医師へ報告をしてください。

※膀胱癌など尿路の癌がある場合は医師に相談した方が良いでしょう。

カテーテル留置されている場合の血尿の対処法

尿道カテーテルが留置されている場合にもしばしば血尿が出現することがあります。

慌てる必要はありません!

ここまでと同様に「尿が流れているか」確認をして、水分を多く摂るよう指導します。

その上で血尿の原因を検討します。

カテーテルを引っ張ってしまっていないか確認する

尿道カテーテルを引っ張ってしまうことで血尿が出ることがあります。

引っ張ってしまう主な理由は次の2つです。

  • 患者さんが自分で引っ張ってしまった
  • おむつ交換や移動・リハビリなど体を動かしたときに誤ってカテーテルを引っ張ってしまった

引っ張ったことが原因であれば再び引っ張らないよう工夫が必要です。

カテーテルを引っ張って血尿になった場合はどうする?

では、カテーテルを引っ張ってしまい血尿になった場合はどうしたらよいでしょうか?

基本的に管の中を尿が流れていれば様子を見ていて大丈夫です。尿量が少ないと血液が固まって詰まる可能性があるので、水分を多くとるようにします。

尿が流れてこない、管の中に血液の塊が溜まって詰まっている場合は、カテーテルの交換や洗浄が必要になりまます。

膀胱洗浄についてはこちらを参考にしてください。在宅での膀胱洗浄のやり方ー動画付き

尿は流れているが尿意が頻回になった場合はどうする?

ここまでの解説で、「カテーテルを引っ張って血尿になったけど尿は流れているから水分をよくとって様子をみる」ということになります。

ところが、尿意を頻回に訴えるようになったらどのようにしたらよいのでしょうか?

尿意を頻回に訴えるには主に2つ状態が考えられます。

  • カテーテルが詰まっている
  • カテーテルが抜けかけている

カテーテルが詰まって膀胱内に尿が溜まれば尿意を感じます。

カテーテルが詰まっていないかを直接確認する方法は洗浄をしてみることです。訪問して洗浄をしてみると間違いありません。

カテーテルが抜けかけているとは、引っ張られたためストッパーとなっているバルーンが前立腺部尿道や尿道にまで引き抜かれて途中で引っかかっている状態です。

この状態ではバルーンの刺激により尿意を訴えます。

抜けかかっていても尿が流れ出ていることがありますが、抜け具合によっては尿が流れず膀胱内に尿が溜まってしまうこともあります。

従って、尿意を訴える場合は、カテーテルが詰まっていないか?抜けていないか?確認する必要があります。

自己抜去してしまい尿道から血液が流れ出ている場合はどうする?

患者さんが不穏になって自己抜去してしまい尿道から出血している、という場面に遭遇した経験がある方も少なくないと思います。

そんなときはどうしたらよいでしょうか?

通常、これも慌てなくて良いです。

そうは言っても尿道から血液が滲み出てくると心配になると思います。

この場合の対処法は、「再びカテーテルを挿入する」です。

カテーテルを挿入すると尿道内を圧迫する効果があるので、いわゆる「圧迫止血」になるという考え方です。

すぐには止まらないと思いますが、しばらく経過をみていればたいていのものは止血されます。

また、再挿入もさほど慌てて行わなくても良いことが多いと思います。尿が溜まりすぎない範囲(時間内)で再挿入すれば大丈夫です。

それでもカテーテルが詰まるくらい出血がある場合は、専用のカテーテルに入れ替えて持続潅流など泌尿器科的処置が必要となることもあるので、病院に相談することになります。

一般的な血尿の原因

教科書的な順番と逆ですが、最後にな血尿の原因について触れたいと思います。

在宅医療の現場は高齢者が多いという特性を考慮して挙げたいと思います。

  • 出血性膀胱炎
  • 尿路結石(膀胱結石)
  • 薬剤性(抗凝固剤等)
  • 放射線照射後(子宮がん治療後)
  • 骨盤内悪性腫瘍
  • 前立腺肥大症
  • カテーテルの牽引など物理的原因
  • その他(特発性、ナットクラッカー現象など)

原因の検索は、尿検査(一般、沈渣、培養)、尿細胞診、画像検査(超音波、CT)などで行います(これらは医師の役割です)。

いかがでしたでしょうか?

在宅医療に関わる皆さんのお役に立てれば嬉しく思います。

 

このブログでは在宅医療に関わる看護師や薬剤師、介護する家族だけでなく病院で退院調に関わる方にも役立つ情報を紹介することを目的としています。

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