処置・手技

CVポートのフラッシュのやり方

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こんにちは。 Dr. Noriです。

自宅療養される患者さんの中には、化学療法やTPNのためにCVポートが留置された状態の方がいらっしゃるとおもいます。

CVポート経由でTPNを行っている場合や使用していない場合でも時々フラッシュしなければなりません。

今回はCVポートのフラッシュについて解説したいと思います。

CVポートの構造

CVポートにはいくつかの呼称があり、ポート、リザーバーと言われたり、海外ではポンプと言われることもあります。

CVポートは中心静脈に挿入されるカテーテル部分とカテーテル部分と接続しているポート部分で構成されています。

ポート部分は針が刺入される圧縮シリコン(シリコンセプタム)とカテーテル内腔と接続しているチャンバー、コネクターがあります。

シリコン部分にはHuber針が使用されます。Huber針はシリコンが傷つけられないようにするために特殊な構造となっています。

(日本IVR学会編 中心静脈ポート留置術と管理に関するガイドライン2019より引用)

CVポートの種類

カテーテルの先端(血管内腔に留置される側)が開口している開口型(オープンエンド)と血液の逆流を予防するために設けられた弁がある閉鎖型(クローズドエンド)があります。

血液が逆流すると凝血塊によってカテーテルが閉塞する可能性があるため、最近は閉鎖型のものが主に用いられているようです。

閉鎖型はカテーテル側面にスリットが入っており、注入時と吸引時に圧がかかることでスリット部分が開く構造になっています。

一般にグローションタイプと言われるのがこれに該当します。最近はこのタイプが使用される頻度が高いようです。

(日本IVR学会編 中心静脈ポート留置術と管理に関するガイドライン2019より引用)

CVポートから薬液投与終了後の処置

中心静脈ポートからの薬剤投与終了時には、ポート内の薬剤をフラッシュをするなどの処置を行う必要があります。

どのようなやり方が正しいのでしょうか?

実は、エビデンスは十分でないようですが、ガイドラインなどに記載されている内容をまとめると次のようになります。

  1. 投与された薬剤を完全に洗い流してシステム内での薬剤析出や閉塞を予防する
  2. 陽圧をかけながらシステムを閉鎖することで(陽圧ロック)非使用期間における血栓閉塞を予防する

薬剤析出防止のためのフラッシュ

ポート内に薬剤が残ると、後に析出して閉塞の原因になることは避けなければなりません。

そのため生理食塩水でポート内を完全に洗い流さなければなりません。

通常、10mlの生理食塩水が用いられますが、脂肪乳製剤の使用後や血液吸引後は20ml以上必要となります。

その際に、一定の力で生理食塩水を注入するのではなく、間欠的に圧をかけるようにしますこれをパルス・フラッシュといいます。

ここで注意が必要なのが、注入時の圧力です。

製品の耐圧限度を超えるとポートを破損する可能性がありますので、力を入れすぎないようにしましょう。

フラッシュ時の注意すべき点

フラッシュ時に陽圧をかけて行うのが基本ですが、圧がかかりすぎるとポートの破損の可能性があるため、使用するシリンジは10ml以上を用いるようにします。

ポート部分とカテーテル部分の破損による薬液漏出を避けるために、薬剤とくに抗がん剤投与前には20ml以上注入して、漏れがないことを確認するとよいでしょう。

同時に薬液前には逆流を確認する必要があります。

圧をかけるときは間欠的にかけるようにします(パルシングフラッシュ)。

ヘパリン生食と生理食塩水のどちらを使用するべきか?

陽圧ロックを行う時にヘパリン加生理食塩液と生理食塩水のどちらを用いるべきなのでしょうか?

ヘパリン加生理食塩液の場合、濃度は10〜1000 U/mLのいずれにおいても効果が認められており、濃度の関する明確な推奨はありません。

一方、稀ですがヘパリン起因性血小板減少症や出血、感染の惹起など重篤な合併症が起こる可能性を知っておく必要があります。

最近ではヘパリンが過量であることを問題視する意見もあります。

では生理食塩水で陽圧ロックを行った場合はどうでしょうか?

グローションタイプについては、生理食塩水でも問題ないとされています。

現状では、閉塞予防や安全性についていずれかが優れているとの根拠は示されておらず、どちらでも良い、というのが結論のようです。

非使用時のフラッシュの間隔について

CVポートを普段使用していない場合でも閉塞予防のため定期的にフラッシュする必要があるとされています。

その間隔は、一般的に4週間程度とするものが多いようですが、中には週1回とするものや90日程度とするものもあるようです。

使用されているCVポートの種類や製品ごとに異なるので、製品情報を確認することが大切です。

逆流の確認の仕方

薬液投与前に逆流を確認します。

開口型(オープンエンド)の場合、閉塞がなければ用意に逆流が確認できます。

閉鎖型(クローズドエンド、またはグローションタイプ)の場合、一定以上の陰圧をかけます。

スリットの部分が内側に引き込まれて隙間が出来ると血液が逆流するので、目視できるところまで逆流させるためには陰圧をかけた状態を維持します。

このとき強く陰圧をかけすぎないよう少しずつ強くしていくようにしましょう。

 

このブログでは在宅医療に関わる看護師や薬剤師、介護する家族だけでなく病院で退院調に関わる方にも役立つ情報を紹介することを目的としています。
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