こんにちは。 Dr. Noriです。
突然ですが、腎瘻カテーテルを洗浄したことはありますか?
おそらくほとんどの方がそのような経験はないと思います。
そもそも腎瘻カテーテル洗浄を行う場面は多くありません。
一般的に医師が行うことが多い処置のため腎瘻カテーテルを洗浄したことがある人は少ないと思います。
ところが在宅では稀に腎瘻カテーテルを洗浄しなければならないことがあります。
そこで今回は腎瘻カテーテルの洗浄方法を解説したいと思います。
久々の動画付きで解説したいと思いますので最後まで御覧ください。
そもそも腎瘻ってどんなもの?
腎瘻は腰のあたりから管がでていて袋に尿をためているものです。
管が当たって患者さんのQOLを損なうものであるのは間違いありません。
しかし、それでも腎瘻に頼らなければならない状況があるのです。
そもそも人間は尿を作って排泄することが生きていく上で必要です。
尿は腎臓で作られ、腎盂→尿管→膀胱→尿道を経て体外に排泄されるのが生理的ですが、この途中で尿が通らなくなると排泄ができなくなります。
排泄ができなくなると尿毒症になり、放置した場合は最終的には死に至ります。
これを腎後性腎不全と言います。
そこで尿が通らなくなった場所に応じて尿を体の外に出してあげます。
例えば、膀胱に溜まった尿が出せないのであれば、尿道からカテーテルを挿入留置したり、恥骨上の腹壁から直接膀胱にカテーテルを挿入する膀胱瘻などといった方法が用いられます。
では膀胱より上流ではどうするのでしょうか?
尿管が狭窄や圧迫され通過が悪くなっている場合、尿の通過する空間を確保するために尿管ステントを留置することがあります。
そしてもう一つの方法として腎瘻を挿入する方法があります。
尿管ステントと腎瘻の違いは?
尿管ステントは体内に留置されるため、腎瘻に比べ非侵襲的でQOLを維持するためにも良い方法といえます。
しかし、メリットだけではありません。
尿管ステントはしばしば通過が悪くなり腎機能が悪くなったり、感染(腎盂腎炎)を起こすことがあります。
また、ステント自体が膀胱を刺激することで、頻尿症状や排尿時痛などの症状を引き起こすことがあります。
尿管ステントは一般的に定期的に交換が必要で、挿入や交換はレントゲン透視下で内視鏡を挿入して行うため、通院が大変になります。
腎瘻はどうでしょうか?
腎瘻ははじめに挿入するときと、拡張するときが大変です。
超音波ガイド下に穿刺拡張してカテーテルを挿入するのですが、腎臓に直接針を刺すため出血のリスクがあります。
またその時の体位がうつ伏せになるため患者さんは大変です。
腎瘻が造設できたあとは月1回のペースで交換が必要となりますが、はじめの1-2回以降はベッドサイドで交換できるようになることが多いので在宅でも交換可能です。
(厳密には留置されているカテーテルの種類やサイズにもよります)
何より腎瘻は直接腎盂から尿を体外に出しているので、ステントのように尿が流れなくなるリスクがかなり低いのが特徴です。
そのため感染のリスクも低い印象があります。
腎瘻カテーテル洗浄は必要なのか?
実は、一部の例外を除き腎瘻カテーテル洗浄は原則必要ありません。
例外とはどのような場合でしょうか?
通常、腎瘻は月1回ペースで交換しますが、予後が短いと判断されたがん患者の場合に交換せずに様子をみることがあります。
その間閉塞しないよう定期的に洗浄することがあります。
もう一つは、稀なのですが頻回に閉塞してしまうケースです。
対処方法は、交換サイクルを短くするか、途中で洗浄するかのいずれかになります。
どちらを選択するかは主治医判断となります。
このような例外において腎瘻カテーテルの洗浄を行います。
腎瘻カテーテル洗浄の実際ー動画で解説
腎瘻カテーテル洗浄は基本的に膀胱洗浄の手技を同じです。
ただし、注意しなければならないのは、腎瘻カテーテルは腎盂に、膀胱カテーテルは膀胱に留置されているという違いです。
膀胱は伸縮性が高く、容量も多く蓄えることができるため、量や圧に対し許容範囲が大きいのですが、腎盂は伸縮性は低く、狭いため、量や圧に対する許容範囲が小さいのです。
そのため注入する洗浄液の量や注入する際の圧のかけ方に注意が必要です。
腎瘻カテーテルから多量に高圧で洗浄液を注入すると患者さんが痛がったり、発熱する原因となるので注意してください。
それでは実際の手技をみていただきたいと思います。
動画内で細かなコツなどを解説していますので、ぜひ御覧ください。